第60回入学式・第42回専攻科入学式を執り行いました

2020.04.06

 

 2020年度入学式を4月6日(月)、執り行いました。

 今年度は全国の新型コロナウィルス感染症拡大等の状況を踏まえ、会場や開始時間を分散するとともに、入学生にマスク着用、手指消毒、換気など予防対策を講じた上での実施となりました。

 各学科に分かれ、短大に391名(美術科83名、音楽科72名、国際総合学科115名、情報コミュニケーション学科121名)、専攻科には41名(造形専攻19名、音楽専攻22名)の計432名が入学許可をされました。

 小手川大助学長は式辞で「失敗を恐れずにチャレンジを繰り返し、身の詰まった2年間を過ごしてください。」と新入生にエールを送り、入学生宣誓では短大と専攻科から代表の学生が登壇し、「学則を守り、学生としての本分をつくします。」と宣誓しました。

 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。教職員一同、心から歓迎します。


◆◇◆2020年度入学式学長式辞◆◇◆

 

 芸術文化短期大学に入学された皆さん、御入学誠におめでとうございます。

 私も、この四月から芸術文化短期大学の学長に就任したばかりです。初々しい新入生の皆さんを見て、私も一緒に新しい道を歩み出すことになるのかと思いを新たにしたところです。

 さて、世界情勢がめまぐるしく変動していくこの時代の中にあって、日本においては、少子高齢化、過疎化と一極集中、就労人口の減少などにより、地域共同体の維持が難しくなってきています。

 その一方、世界はGNPなどの経済規模を競い合う時代から、どこに住めば一回しかない人生を最高に楽しむことができるかという時代に入ってきています。そういう目で見ると、日本は圧倒的に世界のトップにいます。長生きすることができ、治安もよく、空気も綺麗で、交通の便もよく、貧富の格差も少なく、美味しい食べ物や温泉などの「癒し」の文化にあふれています。また、それぞれの地域や季節ごとに異なる「マイクロカルチャー」に溢れています。マイクロカルチャーもまた人生を豊かにしてくれるものだと思いますし、大分には、そのような意識が古くからから存在していたと思われます。

 私は大分で十五年間育ち、神戸で三年、東京で五年学んだあと二十三歳で就職し、三十五年間の役人生活をしたのち、最近十年は国内外の色々な仕事をしています。私の経験では、一度故郷を離れて、別の文化に接してみると、故郷にあるユニークなもの、その長所が見えてきます。

 芸術文化短期大学での教育は、音楽や美術、国際文化、歴史、情報、地域社会などまさに、人々に生きる喜びを与え、暮らしを豊かにするものです。本学には今年も全国から学生が入学されました。これからの二年間、あるいは更にその先の二年間、皆さんが持つ、地域の持つ隠れた長所(マイクロカルチャー)に気付く感性を更に磨き上げ、広い視野と芸術文化の知識・技能を持って地域社会を支えていける有為な人材に育つことを目標に、皆さんの教育に当たっていきたいと思います。

 本学は、芸術系の美術と音楽、人文系の国際総合と情報コミュニケーションを併せ持ち、さらに芸術系には二年制の専攻科を有する国内で唯一の公立短期大学です。

 まず皆さんは最初に、この大学で何を主体的に学ぼうか、どのような教科を、どの先生に教わるのかを決めていく作業に入ります。このことは、社会人になるためにどんな専門を伸ばしたいか、どんな資格を取りたいのかといったビジョンを、今から自分自身で描くことが求められます。

 高い専門性に裏付けされた内容を、どのように教えるか計画を作り、講義の要旨をまとめた授業ガイド「シラバス」を基に、それぞれ自分の学びたい科目を自分の責任で選択し、登録することになります。もちろん、各学科のいずれかに所属しており、中には入学試験の段階で既に専門コースが決まっている方もいますが、望めばもっと広い範囲で学修する機会も用意されています。人文系の学生が芸術系の教科を選択することができますし、その逆に芸術系の学生も人文系の教科をとることもできます。中でも、一昨年から導入した『アートマネジメント』プログラムは、芸術と観客を結ぶ仕事を、全学科を横断した形で系統的に学んでいくものです。このような選択ができるのも、芸術系と人文系を併せ持つ本学を選んだ皆さんに与えられた特権です。是非、興味を持って自分の知らない分野にも手を伸ばしてください。

 また一つの特長として、学修の中で社会の方々や海外の方々と交流する場面がたくさんあります。地域社会や企業などの現場に出て、地域の方々と協働する「サービスラーニング」をはじめ、様々な地域連携、地域貢献の活動があります。また、海外では中国の江漢大学、韓国の釜山外国語大学、ニュージーランドのクライストチャーチ・ポリテクニック・インスティートなど、多数の海外の学校と友好協定を結んでおり、春期・夏期休暇を利用し、中国、韓国、ニュージーランド、米国、英国などの大学で短期語学実習を行っています。こうした、地域社会や国際的な交流の機会を含む様々な経験が、学生生活をさらに豊かにしていくことでしょう。

 学修環境の面でも、平成二十八年度から大規模なキャンパスのリニューアルを行っており、今年度中には完了する予定です。正門横の新附属図書館やシンボルロードの先の配置した音楽ホール棟、この音楽ホール棟にはレストランやラウンジも設置しており、皆さんのキャンパスライフがより豊かなものとなるでしょう。

 本学の規模は決して大きくはありませんが、今日から二十二世紀に向けて四百名を超す皆さんの友情が始まります。私は皆さんの成功を確信しています。年月が経ったときに、皆さんが再会し、「芸短が還暦を迎えようとする年に入学した自分達からはこれだけ世のため人のために尽くす同級生が出たんだ」と振り返ることができることは間違いありません。どうぞこれから失敗を恐れずにチャレンジを繰り返し、最高に身の詰まった二年間を過ごしてください。

 

令和二年四月六日    
大分県立芸術文化短期大学
学長 小手川 大助