第53回卒業式・第35回専攻科修了式を執り行いました

2015.03.24

 

     

 

 3月23日(月)、本学体育館で「第53回卒業式・第35回専攻科修了式」を執り行いました。式は音楽科学生によるオーケストラ演奏に導かれ、さらにコーラス隊も加わって「大学賛歌」を一同斉唱し荘厳に始まりました。

 美術科82名、音楽科60名、国際文化学科4名、国際総合学科107名、情報コミュニケーション学科122名の計375名に卒業証書・学位記が授与されました。また、専攻科造形専攻23名、専攻科音楽専攻21名の計44名に修了証書・学位記と、対象になる学生に教員免許状が授与されました。

 中山欽吾学長は「今後も芸短で過ごした年月の蓄積を自信の源とし、沢山の引き出しを持って、希望する道を邁進して下さい」と式辞を述べました。また、来賓の二日市具正副知事が「本学で身に付けた知識や技術、多くの経験を誇りに新たな一歩を踏み出して下さい」と、卒業・修了生の今後の活躍に期待を寄せました。

 卒業生を代表して国際総合学科の前田里奈さんが「先生や職員のみなさま、地域のあたたかい支えと、見守ってくれた家族に感謝します」と答辞を述べました。

 式後、卒業・修了生は先生や友人、家族らと記念写真を撮るなどし、名残惜しそうに学び舎をあとにしました。卒業生、修了生のみなさん、ご卒業・修了おめでとうございます。今後とも応援いたします。

 



第53回卒業式・第35回専攻科修了式 学長式辞

 

 本日、大分県立芸術文化短期大学を卒業される375名、また認定専攻科を修了される44名の皆さん、誠におめでとうございます。ご多用の中を二日市副知事様、桜木大分県議会副議長様ほか、ご来賓の皆様方にもご臨席いただき、本法人・大学の役員・教職員とともに門出をお祝いできることは、私の最も喜びとするところであります。また、ご参列くださいました保護者、関係者の方々にも、心からお慶び申し上げますとともに、ご子弟の在学中、後援会を通して様々なご支援をいただいたことに対し、厚く御礼申し上げます。

 今日皆さんは、二年または四年間過ごしてきたこの上野丘のキャンパスを、次の目標に向けて巣立って行くことになります。これまで、学生同士、学生と先生や事務局スタッフの距離が近い、言い換えれば家庭的環境の中で学んできたことは、人生の中で貴重な経験であり、多くの思い出を胸一杯に巣立って行くことでしょう。
さて、皆さん方は学内という枠を越えて学外でも様々な経験をして来たと思います。こうした経験は、四年制大学にはない、短大ならではの柔軟性・多様性があったからこそ実現した面も多く、本学がみんなの顔が見えるサイズの公立短大であることが強みのひとつになっていると思います。

 本学を卒業する大多数の方は就職をして社会人となりますし、就職以外にも、四年制大学の三年次に編入学する方、海外留学する方、専門学校で新たな資格取得を目指す方など、進む道は様々ですが、皆さんは本学の柔軟なシステムによって、二年間という短い学生生活の中で、充実した社会経験をすることができたと思います。この経験を糧に、自信を持って挑戦していくことができると断言できます。

 また、芸術系認定専攻科を修了される皆さんは、先輩の中には、既に大学院を修了して修士号を授与された方々も出始めています。芸術系以外でも、卒業後四年制大学に編入学し、更に大学院への進学が聞かれます。本学での基礎教育の正しさと相まって、本人の意志次第で発展的にキャリアを伸ばしていける柔軟性のある大学であるという実証ができたと思っています。

 こうした公立短大のメリットを最大に活かして本学での勉強を終え、新しい道にチャレンジすべく巣立って行く皆さんを見ると、私は心から、「良い選択だったね、今後も頑張れよ。」と申し上げる次第です。と同時に、「この二年間のたゆまぬ努力を忘れるなよ、そのうえで、自分をさらに変革してゆけよ。」とも、申し上げたいのです。

 

 皆さんが巣立つこの大学も、変革の途上にあります。本学は、創立五十周年を越えた今は、18歳人口が減り続ける中で百周年に向かって魅力を高めるために絶え間ない改革を行っていかねばなりません。二年前、美術科デザイン専攻では、コースを大幅に変えて「ヴィジュアル」、「メディア」、「プロダクト」の三コースを設定したこと、国際総合学科では、「国際コミュニケーション」、「観光マネジメント」、「現代キャリア」の三つのコースを設定して、自分の将来像を視野に入れながら学習を行う体制を創ってきました。皆さん方がコース変更後の輝かしい最初の卒業生であります。

 今後も改革は続きます。まず27年度には情報コミュニケーション学科で新たなコース設定を行います。更には、教育環境の一層の改善を目指して、老朽化した芸術系の施設を逐次リニューアルしていく計画に取り組みます。もう一つ、生涯学習部門も順調に希望者が増えており、今後内容の評価・選択を行いながら規模を拡大していきます。まさに「進化を続ける芸短」をイメージできる改革です。

 

 さて、本日卒業、修了される皆さんは、今後自分の意志により、様々な方向に巣立って行きます。私は、そんな皆さんに伝え贈る言葉として、「思いやりの心」、「感謝の心」、「謙虚な心」という三つの大切な心を取り挙げたいと思います。きっかけは2011年3月11日に東北地方を襲った未曾有の大震災です。あの日から今年で五年目を迎え、まだ被災地の復興が緒に就いたばかりで、住民の皆さんの生活は厳しいものがあります。まず第一に、このように多くの住民が厳しい立場に追い込まれて続けている現状を見て、一人の人間として何が大切かを考え、それら沢山の方々について「思いやる心」、二番目には、我々が無事に生きていけることは、誰によって、何によって支えられているかを知り、それに感謝する「感謝の心」、そして三番目に、人間が大自然を征服できるなどと思い上がるなという、自らを諫める心が「謙虚な心」です。この三つの心を、今年も皆さんに、これから続く長い人生の大切な「生きる指針」として活かして下さい。

 

 

 皆さんは卒業して社会に飛び出していくわけですが、皆さんが考えなければならないことは、社会が皆さんに要求する課題を理解する力を早く養うことです。その力とは、第一に「主体力」、第二に「実行力」、第三に「課題解決力」です。主体力とは、「自分の考えはどうか? 自分ならどうする?」という意志と責任感を持つことです。実行力とは、自分がやるべきことだと考えた問題は勇気をもって実行することです。失敗を恐れることはありません。もし失敗しても、着手が早ければ解決のヒントが分かるものです。第三番目の課題解決力ですが、平素から何事も問題意識を持って観察し、自分で気付く、つまり「課題発見力」とワンセットで考えることです。そして、問題の原因が分かったらどうすれば良くなるのかを考えるのですが、それには、「頭の引き出しを増やしておく」、つまり、沢山の常識をいつでも利用できるように整理して頭に入れておくのです。そして引出しの中から最適のものを選び出し適用させるのです。この三つの力が備われば、皆さんは社会人としても恐いものなしです。

 

 卒業生、修了生の皆さん、今後も芸短で過ごした年月の蓄積を自信の源とし、沢山の引き出しを持って、希望する道を邁進して下さい。必ず道は開けるし、本学で深い教養を身に付けた皆さんは、周囲を幸せにすることができます。私は、皆さんと一緒に過ごしたこの年月を愛おしく思っています。卒業しても、母校に時々遊びに来て欲しいし、街であったときには、どうぞ、元気な声をかけてください。

 三つの心、三つの力、皆さんに伝えたいことがたくさんありました。最後にこの言葉を贈り、式辞とします。

 「おめでとう、そして本学で得た様々な絆を胸に、思い切って未来に向かって飛び立て!貴方にはそれが出来る力があるよ!」

 

平成27年3月23日
大分県立芸術文化短期大学 学長 中山 欽吾