河北秀也氏特別講演・トークセッションを開催しました【芸短フェスタ・学長プロジェクト】

2017.11.24

 

 11月13日(月)、本学大講義室にてデザイナーの河北秀也氏をお招きし、本学美術科学生と芸術緑丘高校美術科生徒、一般参加の方を対象に特別講演とトークセッションを開催しました。

 河北氏は「いいちこ」のアートディレクターとしてテレビCM、ポスター、雑誌広告など全てを企画デザインされており、日本ベリエールアートセンター代表取締役と東京藝術大学名誉教授もつとめられています。 

 

 

 

 

 講演会は美術科 八木明知専任講師の司会で進行。冒頭で、iichiko総合文化センター館長も務める中山欽吾学長から「『いいちこ』と本学には何かとご縁を感じる。人の心を揺さぶる広告がどうやって生まれるかを、今日はしっかり聞いて欲しい。」とあいさつがありました。

 河北氏は福岡県の出身ですが、大分県と本学には昔から何かと縁があり、その縁からiichikoのポスターのデザインを手掛けるようになったそうです。

 

 第1部の講演の中で河北氏が過去にデザインした商品やポスターを紹介。目を引くデザイン性やキャッチコピーは現在でも色あせず顕在。中でもiichikoのポスターは1984年から現在まで1ヶ月に1回のペースで制作しており、大半は海外で撮影されたもの。撮影の苦労や裏話を披露していただきました。

 河北氏が講演の中で特に力説したのは「文化」を理解する重要性。河北氏はお酒のボトルをデザインする際に裏表を作っておらず、「ただ販売のためのデザインではなく、向かい合ってお酒を飲むときにどちらからでも楽しめるデザインにしている。お酒を楽しむ時間を大切にしてほしい。」と経済や産業ばかりを重視しがちな現代に、本当の豊かさとは何たるかを問いかけました。

 

 第2部では河北氏と中山学長、三和酒類株式会社和田久継会長でトークセッションを実施。和田会長は河北氏との出会いのなれそめや、河北氏のポスターにより会社全体が「いいものを作ろう」という気運が高まり、道しるべになったと語りました。

 中山学長は河北氏の講演を聞き、「芸文短大の学長に着任時、『文化』教育の重要性を強く感じ、言語教育をそれまで以上に充実させた。今日の河北氏の講演は、人生はまだまだこれからだと感じさせてくれた。」と述べました。

 最後に河北氏は「大切なのはどこの学校を出たのかではなく、人間の資質。先生や友人との会話を通して様々な知識を吸収することが大切。」と芸術を志す芸文短大の学生と芸術緑丘高校の生徒のみなさんに呼びかけました。

 河北氏の講演は若い学生たちだけでなく、様々な世代の人間の心に訴えるものがありました。本当の豊かさとは何か、自分にとって大切なものは何であったか、考えるきっかけとなりました。

 「売るためのボトルデザインではなく、お酒を飲む時間楽しむためのデザイン」という言葉が印象に残る講演会でした。iichikoデザインがいつ見ても新しく、斬新で鮮やかな理由を垣間見ることができた気がします。