第56回卒業式・第38回専攻科修了式を執り行いました

2018.03.20

 

 3月20日(火)、第56回卒業式・第38回修了式を本学体育館において執り行いました。

 

 美術科72名、音楽科61名、国際総合学科114名、情報コミュニケーション学科105名の計352名に卒業証書・学位記が授与されました。また、専攻科造形専攻27名、音楽専攻20名の計47名に修了証書・学位記と、対象になる学生に教職免許状(美術科4名、音楽科31名)が授与されました。  

 

 

 

 開式に先立ち、音楽科学生によるオーケストラ演奏が行われました。そしてコーラス隊が加わり「大学賛歌」を一同斉唱して卒業・修了式が始まりました。

 学長式辞で中山欽吾学長より、「これからみなさんは実社会で答えの無い問題に日々直面することでしょう。そんなときに『頭の中の引き出し』にしまった、本学で学び、自分で耕した知識を総動員し、答えを見つけ出して下さい。」と学生たちに語りかけました。

 卒業生代表の学生が「芸文短大に入学し、地域活動に積極的に参加したことで、大分県のことをもっと好きになりました。芸文短大で過ごした2年間でかけがえのない思い出を培うことができました。その思い出を糧に、これからも努力していきたいです。」と答辞を述べました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後に「蛍の光」を出席者全員で斉唱し、卒業生・修了生たちは本学を巣立っていきました。

 

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第56回卒業式・第38回専攻科修了式 学長式辞


 本日、大分県立芸術文化短期大学を卒業される三百五十二名、また認定専攻科を修了される四十七名の皆さん、誠におめでとうございます。ご多用のなかをご臨席いただいた、安東副知事様、大分県議会を代表して御手洗副議長様、工藤大分県教育長様をはじめご来賓の皆様方、本学役員及び教職員とともに卒業生の門出をお祝いできることは、私の最も喜びとするところであります。また、ご参列のご家族、関係者の方々にも、心からお慶び申し上げますとともに、私どもの教育に後援会を通して様々なご支援をいただいたことに対しても、厚く御礼申し上げます。

 

 今日皆さんは、二年または四年間過ごしてきたこの上野丘のキャンパスを、次の目標に向けて巣立って行くことになります。これまで、学生同士、学生と先生や事務局職員との距離が近い本学は、言い換えれば家庭的環境の中で学んできたということもでき、人生の中でも貴重な経験をして、多くの思い出を胸一杯に巣立って行くことでしょう。 

 さて、これまで皆さん方は、学内外で様々な経験をして来たと思います。こうした経験は、四年制大学にはない、短大ならではの柔軟性・多様性があったからこそ実現した面も多く、皆さんの顔が見えるサイズの公立短大であることが本学の強みのひとつになっていると思います。今後、多くの方は就職をして社会人となりますが、四年制大学の三年次に編入学する方、海外留学する方、専門学校で新たな資格取得を目指す方など、進む道は様々です。皆さんは本学の柔軟なシステムによって、短い学生生活の中で、充実したたくさんの経験をすることができ、その経験を糧に、自信を持って挑戦していくことができると断言できます。

 また、認定専攻科を修了される皆さん方の先輩の中には、既に大学院を修了して修士号を授与された方々も出始めています。人文系学科においても、卒業後四年制大学に編入学し、更に大学院へ進む人もいると聞いています。本学での基礎教育を終えた後も、皆さん自身の意志次第でさらに発展的にキャリアを伸ばしていける柔軟性のある大学であるということを実証していると思っています。こうした公立短大のメリットを最大限に活かして本学での学びを終え、新しい道にチャレンジすべく巣立って行く皆さんを見ると、私は心から、「これからも頑張れよ。」と申し上げるとともに、「この二年間のたゆまぬ努力を忘れることなく、そのうえで、自分をさらに変革してゆけよ。」とも、申し上げたいのです。

 皆さんが巣立つこの大学も、変革の途上にあります。本学は、創立後半世紀を越えた今、十八歳人口が減り続ける中で百周年に向かってさらに魅力を高めるために絶え間ない改革を行っていかねばなりません。学業ばかりのことではなく、今や着々と進んでいるキャンパスのリニューアルは、皆さんの在学中に開始されたという思い出が残ると思います。私が着任して早いもので九年半になります。当時、その魅力を十分に発信できているとは言い難かった本学の大きな可能性に気がつき、「小さくてもキラキラ輝く宝石のような大学になろう」というキャッチフレーズを掲げたことを思い出します。それがもう今では、『大分に芸短あり』という評価がすっかり定着し、キャッチフレーズにする必要もないくらいキラキラ輝いています。その先頭になって頑張ってきた皆さんが、今日この日、本学を後に社会に巣立って行く日を迎えたのです。日頃から数々の場面で見せてくれた皆さんの積極性は、私自身も学長として負けずに頑張らなければ、という気持にしてくれました。皆さんと共に過ごした日々は長く記憶に留まる楽しい思い出です。本当に有り難うございました。

 皆さんはこれから社会に出て行かれるわけですが、最後に大切なことをお話ししておきたいと思います。それは『正解のない問題』に答えを与えるということです。これまでは、あらかじめ引かれたレールとゴールが決まっていて、その上を走ってきました。教わったことは知識として身につければいい、と思っておられる方も多いと思います。あらかじめ答えが用意されている問題を正しく解くことが試験の成績に繋がりましたから、そう考えるのも無理はありません。しかし、実社会ではそう簡単にはいきません。答えの分からない問題で一杯です。

 つまり、これからは「答えの分かっていることだけではなく、『正解の分からない問題』に日々直面することになる」ということです。社会に出ると、お互いに考えの違う沢山の人達がおり、その中で物事を決めて実行していくことが必要になります。そんなとき、自分の意見に相手が納得してくれる自信がありますか。どうすれば納得し賛成してくれますか。マニュアルに書いてある訳ではない、これら沢山の物事を、あなた方はどう答えを出していくのでしょうか。

 この、疑問に対して、私は「頭の中の引き出しを増やせ」と申し上げたいと思います。「頭の中の引き出し」とは、単なる知識の数ではなく、それが利用できる形に変えられてしまわれていることを言います。つまり答えを引き出すための「自分だけの辞書」であり、「道具」であり、「知恵」なのです。未知の問題に遭遇したときも、この利用できる引き出しを総動員して答えを見つけるのです。

 では、どうしたら引き出しが増やせるのか。実は、皆さんの脳にヒントがあります。左脳で受け入れた知識を右脳の感性や直感で耕すことによって、自分の感覚で判断できるようになることが「引き出し」だと思っています。皆さんは「カルチャア」とか「アート(アーツ)」いう言葉を知っていますね。この言葉で「知識を耕す」という意味が説明できます。カルチャアの語源は『耕す』という意味ですが、教養という言葉もカルチャアとかアーツというのです。そしてアート(アーツ)は芸術、技術、コツなど人間の持つ広い技能も意味する言葉です。つまり引き出しにしまってあるのはこのような「自分で耕した知識」なのです。

 本学の特色である芸術系と人文系の学科があり、お互いに顔が見える中で勉学を修めた皆さんには、他の大学にはない、左脳を右脳の力で耕す力、つまり文化を感受する力が備わっているのです。そして、今は自分自身気がついていなくても、周りを巻き込む豊かな感性を持っているということに気がつくときがきっと来るでしょう。大学でも随分色々な事を学びましたが、それをもう一度思い起こして、耕して、引き出しにきちんとしまっておきましょう。社会に出ても、更に上級学校に進んでも、このことを忘れずに、いつも「引き出しは増えたかな」と自分に問いかけてみて下さい。

 本学での2年、もしくは専攻科を含めた4年はおそらくアッという間に終わったことでしょうが、よく頑張ったからこそ、今日晴れて「前を見て進もう」という意識が持てるのではないでしょうか。今後も芸短で過ごした月日を自信の源として、沢山の引き出しを持って希望する道を邁進して下さい。必ず道は開けるし、周囲を幸せにすることができるということを、申し上げたいと思います。

 皆さんに、「おめでとう、そして本学で得た様々な絆を胸に、思い切って未来に向かって飛び立て!貴方にはそれが出来る力があるよ!」という言葉を贈って、式辞と致します。

 

平成三十年三月二十日

大分県立芸術文化短期大学 学長 中山 欽吾