羅漢寺 住民参加による参道整備への道(2)次期住職による講義

2015.10.29

 

 国指定重要文化財「羅漢寺石仏」で有名な羅漢寺(中津市耶馬溪)の次期住職・太田英華さんに10月6日(火)、情報コミュニケーション学科の講義で講演をしていただきました。

 太田さんは寺のたたずまいと歴史を映像と写真で紹介。本学学生と県民の協力で動き出す「羅漢寺 地域再生プロジェクト」に向けて、自己紹介をし、寺の現状を話しました。プロジェクトでは羅漢寺の参道にあじさいを植樹します。そこで生まれた人々のつながりで羅漢寺の環境整備が続くように計画練り、進めています。

 40歳で出家する以前はフラメンコのダンサーだった太田さん。常々「私が生まれてきた意味ってなんだろう」と思っていたので、自分を表現する手法として舞い踊っていました。しかし出家する少し前、大きな舞台に立ったとき、「いったい何をやっているのだろう。私は踊るために生まれたのではない」と強く思ったそうです。「昔はお坊さんが大嫌いでしたし、羅漢寺を取り巻く環境が嫌いでした」。しかし、生まれてきた意味を考え続けるうちに、尼僧となる決意と羅漢寺を再生していく気持ちが自然と湧いたのでした。5年間の修行を積んだのち「なるべきだった。なって良かった」と実感したそうです。

 参道にあじさいを植樹し整備する計画について「先代が亡くなって10年以上。寺は衰退して、参拝客は減っています。町の人たちも心配するけれど、少子高齢化が進み、思うように整備が進みません。もっと羅漢寺を良くしたいし、もっとアピールしたいのです」と思いを語りました。そして「お寺に置いていったものは不思議と残りつづけます。私たちが大切に維持していくからです。皆さんがお父さん、お母さんになっても植えたあじさいはきっとずっと茂っています。そして、お子さんにこれは私が植えたのだよと言える日がきます。そこに皆さんの心が残るのですよ」と協力を呼びかけました。

 来月7日(土)には学生有志が現場に向かい、どういう所に植えるか確認し、土を整えるなどの作業を行います。今、太田さんはその下準備として一人、土ならしをしています。「参道には、猪や鹿が出てきます。あじさいが根付くまでどう近づけないか考えないと。でも、それが自然なのですけどね」と話しました。