第57回卒業式・第39回専攻科修了式を執り行いました

2019.03.25

 3月20日(水)、第57回卒業式・第39回専攻科修了式を本学体育館において執り行いました。

 音楽科の学生によるオーケストラの演奏が行われる中で開式した卒業式・専攻科修了式には、安東副知事、濱田県議会副議長ほか多くの来賓にご臨席いただきました。

 美術科73名、音楽科69名、国際総合学科118名、情報コミュニケーション学科114名の計374名に卒業証書と学位記が授与され、専攻科造形専攻23名、音楽専攻21名の計44名に修了証書と学位記が授与されました。また、芸術系2学科で教職課程を修得した学生に対して、教職免許状(中学校教諭2種:美術5名、音楽36名)が授与されました。

 卒業生、修了生のみなさん、ご卒業・修了おめでとうございます!


◆◇◆ 第57回卒業式・第39回専攻科修了式 学長式辞 ◆◇◆

 本日、大分県立芸術文化短期大学を卒業される374名、 また認定専攻科を修了される44名の皆さん、誠におめでとうございます。

 ご多用の中を安東隆大分県副知事様、県議会から濱田洋副議長様、県教育委員会から姫野秀樹教育次長様ほか、ご来賓の皆様方にもご臨席いただき、本法人・大学の役員・教職員とともに門出をお祝いできることは、私の最も喜びとするところであります。

 また、ご参列くださいましたご家族、関係者の方々にも、心からお慶び申し上げますとともに、私どもの教育に後援会を通して様々なご支援をいただいたことに対しまして、厚く御礼申し上げます。

 今日、このようにして卒業生や修了生の姿を拝見いたしますと、本学が公立短期大学としてもっている強みのひとつ、つまり、4年制大学には無い進路の柔軟性・多様性をあらためて感じています。

 本学を卒業する大多数の方は就職をして社会人になりますが、皆さんはいずれも、4年制大学の学生に比べた場合、2年という圧縮された学生生活の中で、専門教養を高めながら自分の進路について真剣に向き合って来ました。就職する方以外にも、海外留学する方、4年制大学の3年次に編入学する方、 専門学校で新たな資格取得を目指す方など、様々な形で挑戦しようとしています。

 また、平成19年に新たに2年制として開設し、芸術系認定専攻科を修了される皆さんは、今回、39回目の修了生となりますが、先輩の中には、すでに大学院に進み、ここを修了して修士号を授与された方々も出ております。

 さて、皆さんは本学での勉学を終え、新しい道にチャレンジすべく巣立って行くわけですが、その姿を見ていると、私は心から、「良い選択だったね、今後も頑張れよ。」と励まさずにいられません。と、同時に、「この2年間のたゆまぬ努力を忘れるなよ、そのうえで、自分をさらに変革してゆけよ。」とも、申し上げたいのです。

 皆さんが巣立つこの大学は、変革の途上にあります。本学は今、創設以来となる大規模な キャンパスのリニューアルが進んでいます。既に芸術デザイン棟が竣工し、これらを利用した学生諸君もおられますが、事務棟の横には素晴らしい図書館が昨年完成しており、間もなく、芸術緑丘高校の真正面に 新しい音楽ホールと、音楽関係の教室、隣接してカフェテリアを持つ食堂を備えた音楽ホール棟が完成します。皆さんの卒業までに間に合いませんでしたが、卒業後も是非母校を訪れて利用して頂きたいと思います。

 そして今年度からは、人文系と芸術系 共通のカリキュラムである、アートマネジメント・プログラムがスタートしました。芸術家が成果を世に問うためには、沢山の裏方の努力が必要であり、その仕事の善し悪しで、成果が出ないことにもなりかねません。

 芸術家と一般の市民とを繋ぐ役割を担うアートマネジメントは、益々重要な仕事になりつつあります。これを行うには芸術を専攻した人や、経済学などを勉強した人達の共同作業が不可欠であり、本学はそのような人材を養成するのにふさわしい大学です。これまでも卒業生の中からそのような職業に就いている先輩も沢山いるのですが、大学時代にもっと系統的にこの仕事について勉強していれば、即戦力として役立つことは確実です。

 また、本大学では、一旦社会に出た方、あるいはシニア時代を迎え、今まで やれなかった勉強をやり直したいという方に向け、生涯学習を担う講座も立ち上げております。このように、皆さんの母校も時代に合わせて、しなやかに姿を変えつつあるということをご報告して、今後、皆さんが、たゆまぬ努力を行い自己変革することに対して、エールを送る次第です。

 皆さんは、本学の持つ多様な進路の選択肢から一つを選択し、様々な方向に巣立って行きます。私は、そんな皆さんに伝え贈る言葉として、「思いやりの心」、「感謝の心」、「謙虚な心」という3つの大切な心を取り挙げます。というのも、未曾有の大災害といわれた東日本大震災以来、これでもかと いわんばかりの天災が続き、多くの住民が厳しい立場に追い込まれている現状を見て、一人の人間として何が大切かを考え、それら沢山の方々について思いやる心が、とても大切だと、いっそう思うからです。

 2番目の「感謝の心」ですが、我々が無事に生きていけることは、何によって、誰によって支えられているかを知り、それに感謝する心が、これまで以上に大切になっています。

 そして3番目に、人間が大自然を征服できるなどと思い上がるなという、自らを諫める心が必要です。この3つの心を、これから 長い人生の大切な「生きる指針」としていかして下さい。この3つの心は、人間として生きるに当たって静かに思いを致す部分です。

 もう一つ大事なことをお話しします。皆さんが社会で生きるに当たって、アクティブに力が求められるということです。皆さんは卒業すると、これまでの学生時代と少し違って、自分でやりたいものを選んでやるということよりも、自分の役割としてやらねばならないということが多くなります。しかも、どうやったらそれができるのかも分からない問題が、沢山でてきます。

 ではどうするのか?皆さんが考えなければならないことは、社会が皆さんに要求する力を養うということです。すでに在学中にも、様々な活動の中で育んできた力ですが、それを今一度点検することです。

 社会が皆さんに求める力、それは第1に主体力、第2に実行力、第3に課題解決力です。主体力とは、「自分の考えはどうか? 自分ならどうする?」という意志と責任感をもつことです。 実行力とは、文字通り、自分がやるべきことだと考えた問題は勇気を持って実行することです。失敗を恐れることはありません。もし失敗しても、着手が早ければきっと解決のヒントが分かるものです。

 第3番目の課題解決力ですが、先ず、人に言われてからではなく、平素から何事も問題意識を持って観察し、自分で気付くことです。そして、問題の原因が分かったらどうすれば良くなるのかを考えるのですが、そのためには、いつも私が話している、「頭の引き出しを増やしておく」、つまり、沢山の常識をいつでも利用できるように整理して頭に入れておくのです。そして引出しの中から最適のものを 選び出し適用させるのです。この三つの力が備われば、皆さんは、社会人としても恐いものなしです。

 社会人と申しますと、皆さんの中には、一度社会に出られて再び専門知識を取得するために入学された方もいらっしゃいます。若い学生にとって良き先輩となり、また、既にお持ちで学生から頼りにもされた教養や知恵をさらに高めようとされてきたそのご努力に、深い感謝の意を表したいと思います。 ありがとうございます、そして、ご苦労様でした。

 卒業生、修了生の皆さん、今後も芸短で過ごした年月を自信の源とし、沢山の引き出しを持って、希望する道を邁進して下さい。必ず道は開けるし、本学で深い教養を身に付けた皆さんは、周囲を幸せにすることができます。

 私は、皆さんと一緒に過ごしたこの年月を愛おしく思っています。卒業しても、母校に時々遊びに来て 欲しいし、街であったときには、どうぞ、元気な声をかけてください。3つの心、3つの力、皆さんに伝えたいことがたくさんありました。

 最後にこの言葉を贈り、式辞とします。「おめでとう、そして本学で得た様々な 絆を胸に、思い切って未来に向かって 飛び立て! 貴方にはそれが出来る力があるよ!」

平成31年3月20日 大分県立芸術文化短期大学  学長 中山 欽吾