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寄稿「思い出のなかの自然」 名誉教授 河上 央

2021.7.5更新

 昔は、猫がよくうろついていました。現在はほとんど見かけませんが、猫が美術棟に住み着き、子猫が生まれたこともありました。私になついた猫は、研究室の前で毎朝、私が来るのを待っていました。新聞にそのことが記事として載ったことがあります。守衛さんも動物が好きな方だったのか、猫にこっそり餌を与えていらっしゃいました。猫好きな学生も餌を与えていました。しかし、学生食堂や教室に猫がこっそり入ってしまうことから、猫の苦情が絶えなくなり、結局、猫を見つけたら構内から追い出すことや、猫に餌を与えないように注意喚起が行われ、猫の姿はいつの間にかなくなりました。

 動物以外では、夏には蝉、カブトやクワガタといった昆虫がよく見かけられ、特に蝉の声がよく聞こえました。自然を観察しながら物を作ったり描いたりする親子参加の公開講座を企画したことがありましたが、子供たちが楽しそうに虫や植物を探しに構内を散策していた光景が思い出されます。構内整備が行われ、新しい建物を新設するために木々がかなり伐採された今でしたら、その企画も難しかったかもしれません。

 厄介者のスズメバチが研究室や教室に入ってきたこともありました。美術棟の各部屋は天井が高く、追い出すのにひと苦労しました。虫以外にも美術棟では、近くの川からやって来たのでしょうか、蟹を見かけました。初めて見つけた時は、こんな場所に蟹?と少し驚きました。

 また、授業で学生たちの植物写生や校内写生の作品を鑑賞して、芸文短大の自然を再発見したこともありました。木々や小さな動植物たちを優しく見守りながら観察されていた中原伸浩准教授や、構内の草が生い茂った場所を歩きながら木の実や植物を探していた故澤田犉教授も、自然豊かな芸文短大を愛されていたと思います。お目当てを見つけては、嬉しそうに話されていました。

 芸文短大の長い歴史の中で、構内の自然は変化してきています。これからも大事に守っていってほしいと思います。

大分県立芸術文化短期大学 名誉教授 河上 央(美術科 美術専攻日本画)