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寄稿「60周年に寄せて」第十三代学長 中山 欽吾

2021.6.28更新

 大分県立芸術文化短期大学創立60周年おめでとうございます。歴史と伝統ある芸文短大に学長として関わることができたことを改めて実感しています。
 大学経営と無縁であった私に、思いがけなく故郷大分の芸文短大理事長兼学長という大役を与えられたのは、11年前の平成20年にさかのぼります。当時の私は、二期会理事長として東京で勤務しており、同郷の文部省・文化庁OB方から、是非にと依頼を受けたことがきっかけでした。
 実を申しますと、私と芸文短大は全く無縁ではなかったのです。声楽家の叔父(声楽家:中山悌一氏)と、その連れ合いがピアノの非常勤講師を勤めていたこと、私の姉が叔父に頼まれて発声練習のお手伝いをしていたこと、私の妹は短期間でしたが、教員として勤務していたことなどです。そんなこともあり、私が学長として赴任したときは、初めてとは感じられないある種の懐かしさを感じたものです。
 就任当初に「小さくてもキラキラ光る宝石のような大学」という大きな目標を掲げ、教職員の皆さんと学生たちと邁進しました。数々の大きな事業を実施した中で、アートマネジメントプログラムは、私の経験を踏まえ、ぜひにとお願いして実現したものであり、県内初めての取り組みであることから、非常にうれしく感慨深いものがあります。
 アイデアの原点は、学長就任前まで話が遡ります。私は、大学卒業後、民間の会社でエンジニアとして国内外で長年勤めていましたが、ある時、叔父達が作った声楽家集団「二期会」が赤字で苦しんでいたことを知り、会社を退職して、一念発起、二期会再建に取り組むことになったことがきっかけです。
 素人ながら、民間の経験を活かして奮闘した結果、数年で赤字を一掃し、黒字化したことから、その後、二期会理事長として経営を任され本学の学長職と兼任で10年以上全うしたわけです。
 そうしたことから、学生たちがアートマネジメントを大学でしっかり学び、社会に出て活躍できたら素晴らしいのではないかと思うようになりました。若いうちからマネジメントにかかわることで、芸術文化全般を学ぶことができ、様々な分野に視野を広げることができること、また、大分の芸術文化振興に貢献できる人材の育成につながり、本県の芸術文化振興の発展、充実にもつながると確信したのです。
 そして、当時の資料や数々の専門本を読み漁りながら、他大学のプログラムなど、ありとあらゆるものを活用して、設立までのプロセスを完成させていきました。私一人では到底開設できるものではなく、教職員の皆さんと協議しつつ前進しました。
 令和元年には、アートマネジメントプログラムを学んだ学生から初めて企画案をプレゼンテーションしてもらいました。どれも非常にユニークなものばかりで、優秀な学生が多いことを誇らしく感じつつ、事業ストーリーや実現性担保の必要性など、実務経験者として具体的に厳しい目で課題を指摘しました。例えば、「スカイランタンプロジェクト」「ダンボールこども遊園地」などが実現されました。
 アートマネジメントプログラムは、芸文短大に特化したもの、芸文短大が目指す地域社会実現となる大きな一歩として形づけられたものだと自負しています。これからさらに、県内外の文化施設に就職し、地域社会の芸術・文化の振興に携わる人材、地域社会との架け橋となる人材が数多く育つことを期待しています。
 学生がぐんぐんと大人に成長していく姿を目のあたりにすることで我が子のように嬉しく感じ、私自身も学生と一緒に成長し、一緒に創造することができた思い出は、キラキラ光る宝石のような私の人生の宝物です。11年間本当にありがとうございました。 

第十三代学長 中山 欽吾 

写真:第1回学長プロジェクト(2009年)

写真:キャリアプランニング 学長講義(2016年)