Epistula Vol.67(2022年6月10日)

Epistula Vol.67(2022年6月10日付)掲載

 私は仕事の関係などでこれまでに72の国々を訪問する機会がありました。そのような経験と日本国内で受ける印象が異なる点について申し上げたいと思います。

 端的に言えば欧米の過剰評価とアジアアフリカ諸国の過小評価です。例えば、日本ではよく北欧やニュージーランドといった国の例が模範的なものとして紹介されることがありますが、その是非は別として、北欧4か国の人口が非常に少なく、「国益」についての国民的合意を得ることが我が国と比べて格段に容易であることに留意する必要があります。一番人口の多いスウェーデンでも人口は800万、ノルウェー、デンマーク、フィンランドの人口は5百万で、デンマークは人口に加えて面積も北海道と同じですし、1千2百万人の人口を有する九州よりもスウェーデンの人口は少ないわけです。

 EUの総人口は5億人でASEAN諸国の総人口6億人を下回っています。欧州で最大の人口を有するドイツでも人口は8千万人超で我が国の3分の2ですし、イギリス、フランス、イタリアの人口は6千万人弱でアジアではタイとほぼ同じで、我が国とほぼ同じ人口のフィリピンやベトナム、我が国の2倍の人口を有するインドネシアを大きく下回っています。