Epistula Vol.71「祖父の思い出と鉄道の発達」(2023年6月9日)

Epistula Vol.71(2023年6月9日付)掲載

 私の祖父は私が大学2年の春の1971年に80歳で亡くなりました。その約1年前に祖父は神戸に来て、灘高校の私の卒業式に出席しました。その際に以前尋ねた大阪の美味しいすき焼き屋に行きたいと言うのでハイヤーを雇って探してもらいましたが見つかりません。祖父が「戦後すぐに行ったことがあるのだけれど」というのですがどうしても見つかりません。ハタと思い当たった私が、「戦後というのはいつの話?」と聞いたところ、「欧州大戦」(第一次世界大戦)というので、「それは無理じゃ」ということになりました。

  •  今回大分で仕事をすることになり、大分の歴史を紐解く機会が増えました。そうしているうちに、日豊本線が私の郷里の臼杵市まで延伸したのが1915年であることが分かりました。1891年生まれの祖父が24歳の時です。もしかするとすき焼き屋の思い出は開通したばかりの鉄道に乗って新婚旅行で大阪を訪ねた際の楽しい思い出ではないかと思い当たりました。亡くなった祖父に確認はできませんが恐らくそうだったのではないかと思います。